食事
米粉を取り入れてグルテンフリーに。自然の摂理にかなった食生活が健康を長く維持する秘訣 【大人美人の教科書 vol.3】
今、話題の「グルテンフリー」。
世界的アスリートの食事法としても注目を集めていますが、いち早く、その魅力に気づき、グルテンフリーを日本で広めるために尽力してきた先駆者がいます。
米粉料理家の陣田靖子さんです。陣田さんは、2007年から米粉に関する講座を始め、2009年には「米粉マイスター協会」を設立。これまで約200名の「米粉マイスター」を育成し、グルテンフリーの普及に貢献してきました。
グルテンフリーといえば、アレルギー対策の意味合いを強く持たれがちですが、実はそれだけではありません。小麦アレルギーではなくても、グルテンフリーの一環として毎日の食生活に米粉を取り入れれば、大人美人にうれしい「変化」が起きるそうです。
お肌の調子が良くなり、むくみをケア。米粉の恩恵に驚き
― そもそも、なぜ「米粉」を取り入れようと思われたのですか?
15年ほど前から、玄米菜食を中心とした「マクロビオティック」を教えていたのですが、その中で、小麦アレルギーの生徒さんに出会ったことがきっかけでした。調べてみると、日本人のアレルギーのおよそ8割を「卵」「牛乳」「小麦」が占めるといいます。
「さまざまなアレルギーを抱える人たちが、同じおいしいものを一緒に楽しく食べるにはどうすれば良いんだろう」
このように考えた結果、行き着いたのが「米粉」だったんです。
― 米粉で作った料理を初めて食べたときの印象はいかがでしたか?
そのときは米粉でケーキを作ってみたんですが、とてもおいしかったですね。しっとり、もっちりとした米粉独特の食感に、私自身がやみつきになってしまいました。
それと、米粉に漂う風味にはどこか安心感を覚え、身体になじむような感覚があったことが印象的でしたね。お米は日本のソウルフードとも言うべき食材ですから、「米粉は日本人の身体に合っている!」と確信しました。
― 「身体になじんだ」という米粉を取り入れた食生活を続けてみて、何か実感はありましたか?
お肌の調子が良くなりましたね。肌質がきめ細かくなって、しっとりとした肌に変わっていきました。それから、むくみも気にならなくなっていきましたね。これらは生徒さんからもよく聞きます。
あと一般的に、グルテンフリーの食生活を続ければ、免疫力のアップや身体全般のケアも期待できるともいわれていますよ。それに、グルテン入りの食品はカロリーが高い傾向にあるため、グルテンを避けることでダイエットにつながるというメリットもあります。
米粉は難しくない。簡単バナナケーキの作り方
― 健康にも美容にもうれしいグルテンフリーの第一歩として自宅で簡単にできる米粉料理を教えてください。
今回は、米粉を使ったバナナケーキをご紹介しますね。
【材料】
・米粉 300g
・無調整豆乳 250ml
・ベーキングパウダー 大さじ1
・菜種油 80ml
・メープルシロップ 80ml
・バナナ 1本
・レモン汁 小さじ2
・ラム酒漬けレーズン 大さじ3
・無糖ジャム 大さじ3
・ラム酒 大さじ1/2
・ココナッツファイン 大さじ3
・自然塩 小さじ1/2
【作り方】
1.ボウルに米粉、ベーキングパウダーを入れてよく混ぜる。
2.バナナは皮を剥き、3mmぐらいの輪切りにして、すぐにレモン汁をかける。
3.別のボウルに、無調整豆乳、メープルシロップ、菜種油、ラム酒漬けレーズン、自然塩、ラム酒を入れてよく混ぜる。簡単に混ざっていればOK。これを1.のボウルに加えて混ぜる。
4.そこに、2.で用意したバナナをレモン汁ごと加え、さっくりと混ぜる。
5.底だけクッキングシートを敷いた型に流し入れ、160℃のオーブンで30分ほど焼く(竹串を刺して、生地がつかなければOK)。
6.焼きあがったらすぐ、上部に無糖ジャムを塗り、ココナッツファインを飾り、再度オーブンで2分焼く。
―米粉を使ったケーキ、作り方はとてもシンプルですね。
そうなんです。米粉は、小麦粉に比べて油分が少ないといった特徴があり、すんなりと水分と混ざるため「ダマ」になりません。小麦粉でケーキを作る場合、「ダマ」にならないように粉を振ったり、混ぜるときに力加減を抑えたりしますが、米粉ではそういったことは必要ありません。それに、米粉は粒子が細かくサラッとしているので、水で簡単に洗い流すことができて後片づけも楽。米粉はとても扱いやすいんですよ。
また、とろみを付けたり、つなぎにしたりするために小麦粉を使うケースが多いと思いますが、それらの役割はすべて米粉で代用できます。ですので、米粉を食生活に取り入れてグルテンフリーを実践することは、そんなに難しいことではありません。
グルテンフリーで健康を長く維持して「ウェルカムエイジング」
― 陣田さんは100%グルテンフリーですか?
いえいえ。自宅に小麦はありませんが、外食も好きですし、「小麦は一切取らないぞ」と固く誓っているわけではありません。小麦アレルギーでないのであれば、それくらいの気持ちの方がストレスなく米粉を取り入れることができるかもしれませんね。
ただ、米粉であっても小麦粉であっても、できるだけ加工・改良されていない自然のものを選んでいただきたいとは思いますね。
― それは、なぜでしょう?
一言でいえば、健康を維持するためです。人間も他の動物たちと同じように自然と調和しながら生きてきたわけですし、その摂理にかなった食生活を送ることが最も健康に良いのではないかと考えています。
今、「アンチエイジング」という言葉が流行っていますが、「アンチ」というと抗っているみたいなイメージで、私はあまり好きではありません。なので、私は「ウェルカムエイジング」と言うようにしています。年齢を重ねることは、何もネガティブなことではありません。若いころよりも人間的な深みが生まれますし、本来は素敵なことです。
米粉を取り入れたグルテンフリーなどの自然の摂理にかなった食生活を通して自分の身体をコントロールし、健康を長く維持できれば、年齢とともに、より楽しく充実した毎日を過ごすことができると思うんです。私も、年々、人生が楽しくなっています。
― 年齢を重ねていくことを「歓迎」し、いつまでも自分らしく楽しむためには、健康であることは欠かせませんね。そのために、身体に合った食生活を見極めたうえで、グルテンフリーなどを実践することが大切なのだと感じました。本日は、ありがとうございました!
【プロフィール】
陣田 靖子(じんだ やすこ)/米粉料理家
yasming’s kitchen主宰。簡単でおしゃれ、ヘルシーなレシピが人気を博している。現在、国内各所にて米粉マイスター認定講座、アレルギー食講座、デトックス&ダイエット講座などの食事指導講座やマクロビオティック、米粉100%のパン&お菓子教室などを開講。著書に「ロハスな食卓 大地と自然の恵みから」(ソニー・マガジンズ刊)「100%米粉のパン&お菓子」「アトピーにも安心 子どものお弁当」「100%米粉のパン&お菓子 野菜たっぷり編」「100%米粉のやさしいおやつ」(家の光協会刊)「上新粉&玄米粉でできる 米粉100%のもっちりパン&しっとりスイーツ」(河出書房新社刊)「シュタイナーのおやつ」(クレヨンハウス刊)がある。■HP:http://yasming.net/