健康
スマホ利用で肩こり悪化?「スマホ巻き肩」をケアするストレッチ
スマートフォン(以下、スマホ)が普及し、その使用者数は世代を問わず増え続けています(情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 平成26年 総務省)。そんな中、日本人が身体の不調を訴える自覚症状の中で「肩こり」は依然として上位を占めている状況です(国民生活基礎調査 平成25年 厚生労働省)。「『スマホ』と『肩こり』」に因果関係はない」と断言できるでしょうか?
というのも、現代ならではの悩みが流行の兆しを見せています。
それが「スマホ巻き肩」です。
肩こりや頭痛、睡眠の悩みも?「スマホ巻き肩」のメカニズム
スマホの重量は、約 115~228 g。これは文庫本と同じぐらいの重さです。
また、総務省が発表した「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査結果(平成26年)」によると、スマホ利用者のスマホからのインターネット平均利用時間は、実に73分に上ることが判明。平成24年と比べると34%も増加しています。
つまり、現代人は、1日のうち1時間以上も文庫本ほどある重さのスマホを持って生活していることになるのです。
スマホを持ち、手元を覗き込んでいる姿勢を想像してみてください。
体重の10分の1ほどある頭部は前方に垂れ下がり、肘は曲がり、肩は内側にすぼめられているはずです。そのまま長時間いると、肩前面から胸にかけての筋肉は縮んだまま硬くなり、逆に背中の筋肉は引き伸ばされ元に戻りづらくなります。これが常態化すると、「スマホ巻き肩」の状態に。
「スマホ巻き肩」が酷くなると、肩こりや頭痛だけではなく、睡眠の悩みを伴うこともあります。
「スマホ巻き肩」を防ぐ3つのポイント
この「スマホ巻き肩」をケアするためのポイントは、次の3つです。
1.背中のしなりを作る
2.肩甲骨の動きを出す
3.手・肘・肩の緊張を解く
胸と背中を伸ばす
【手順】
・座った状態で両手を前に出し、手の平を向かい合わせた姿勢で、胸の前で大きなボールを抱えるように背中を丸めます。
↓
・この状態から手の平が上になるように外に開き、胸を反らしながら、肩甲骨が背骨方向(中心)に寄るようにします。
肩甲骨を引き寄せる
【手順】
・背中の後ろで手を組みます。
※このとき、頭、肩、骨盤を一直線にしてください。
↓
・真下に手を下ろしていきます。
※肩甲骨が真ん中に寄って下がっていくのを感じてください。
↓
・この状態をキープして、天井を見上げます。
※このとき、お腹が前に出ないように気をつけましょう。また、顎から鎖骨にかけての首前面が伸びているのを感じてください。
手と指を伸ばす
【手順】
・親指を上写真のように握ります。
↓
・指を握った状態で前腕前面を伸ばしていきます。
※指、手首、肘、肩が伸びるのを感じてください。
↓
・腕を前に出しても効果的です。
※同じ要領で各指を伸ばしていきましょう。
これらすべてのストレッチは、呼吸は止めずに楽に実施しましょう。目安としては、5秒間キープしながら各動作5セットずつ行ってください。
※自分の可動域を意識して、痛みがある場合は無理に行わないようにご注意ください。
エクササイズを取り入れて、スマホと上手な付き合いを
現代人にとって、今やスマホは生活に欠かせないものになっています。しかし、「歩きスマホ」に警鐘が鳴らさているように、過度な利用は考えものです。
スマホの使いすぎは健康を害する恐れがあることを認識して、自分に合った上手な付き合い方を見つけることをおすすめします。
その第一歩として、ご紹介したストレッチをスマホ利用の合間に取り入れてみてはいかがでしょうか?
※安全を十分に確保したうえで行ってください。
※痛みを感じた場合はすぐに中止し、くれぐれも怪我等をしないようにご注意ください。
※効果・効能の実感には個人差があります。
伊藤 勇矢(いとう ゆうや)
柔道整復師
姿勢改善専門「いとう鍼灸整骨院」院長。痛みとゆがみの悪循環から「(正しい状態に整える)治療+(正しい身体の使い方を覚える)体幹筋トレーニング」という独自のメソッドで治療からの卒業に導く「姿勢のスペシャリスト」として活動中。姿勢と栄養(食育)、睡眠、そして、言葉の力の面からもアプローチし、身体だけではなく、心の健康も追求し続ける。教育機関、指導者等に対して「姿勢に関するセミナー、講演会」も行う。