健康
残暑シーズンに! スパッと快眠テク
猛暑が続き、寝苦しさから睡眠不足となっている人も少なくないのでは。忙しくて睡眠時間を削っている、ストレスで寝付けない、といった人も多いはず。そこで、睡眠専門医の坪田聡先生に、暑い時季も快眠する簡単テクニックを教えてもらいました。
睡眠時間が短くても、コツをつかんで快眠!
いつも時間が足りないから睡眠時間を削っているけれど、健康によくないのでは…?と心配しているとしたら、短くても質の良い眠りを得るワザを身に付けましょう。体の中心の深部体温を下げると眠くなる、体の生理現象を利用することです。そのために眠る前に一度体温を上げ、自然に体温が下がるときスムーズに眠くなるようにします。軽い運動や体を温める食事、入浴などがおすすめ。仕事帰りに帰り道を少し遠回りしてウォーキングをしたり、寝る前にストレッチをしてみて。夕食に温かい鍋料理や辛い物を食べるのも◎です。お風呂は夏でも浴槽に湯を張り、ぬるい40℃以下のお湯にトータルで20分は浸かりたいもの。そして汗が引いた頃に布団に入ります。どの方法も、就寝時間の1時間前までには済ませましょう。
ところで、日中冷房のきいた部屋にずっといて体の持つ体温調節機能がマヒしてくると、入眠しにくいかもしれません。そんな時は“リセット入浴”がおすすめです。夕食の前に42℃くらいの熱めのお風呂に5~10分浸かります。交感神経が活発になり、血流もよくなるため体が温まり、冷え状態からリセットできるはずです。
心のモヤモヤで眠れない人はこれで熟睡!
静かに横になると、ふと心に浮かんでくる心配ごと。ぐるぐる考えて眠れなくなってしまう…そんなときは、心のモヤモヤをノートに書き出し、「これでおしまい!」と声に出して、ノートは引出しにしまいます。はっきりしたアクションを起こすと区切りがつきやすくなるそう。スマホやパソコンを使うと画面から出るブルーライトが脳を覚醒させ寝付きにくくなるので手書きで行ってください。
でも実は心がモヤモヤ眠れない夜は、一度すっぱり寝てしまう方が良いという説も!考えても仕方がないから…というだけではありません。寝ている間に脳内で記憶の整理が行われ、新しい記憶と古い記憶が結び付くため、よい解決策が見つかることも。これは「追想法」といって発明家のエジソンやノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も実践していたといわれています。また、本当にやらなくてはいけないことがある日も、夜は一度寝て元気になった翌朝に早起きしてやった方が能率は上がります。朝残業といって夜は一度帰り、翌朝早くから残業を片付ける働き方が話題ですが、これは6~10倍能率が上がるという人もいます。
眠る10分前の儀式を決めよう!
パジャマに着替える、歯を磨く、ストレッチをする、明日の服を決める、好きなアロマを焚く、決まった音楽を聞く、などなど。眠る前の一連の動作を決めて、その動作=眠くなる、と脳に覚えさせましょう。これは自律神経をゆったりモードの副交感神経優位にチェンジしやすい点でも◎です。
注意したいのは、寝酒はNGということ。寝付きはよくなりますが、アルコールが分解されるとできるアセトアルデヒドは睡眠を阻害し眠りを浅くする作用があるのです。
寝室の環境にも気を配りましょう。快眠できる色といわれているのは、副交感神経に働きかけリラックスさせるといわれる緑色。睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を促すとされる黄色も◎です。眠る時の下着、パジャマにこだわるなら、締め付けがなく、汗を吸収して通気性のよいもの、そして肌触りのよいものを選びましょう。汗の吸収に優れるだけでなく、冬の寒さ対策もできるインナーもあります。
ちょっと工夫するだけで、意外なほどスパッと快眠できるはず。残暑のシーズンを元気に乗り越えましょう。
※紹介した方法について 個人差があるため、すべての人に有効とは限りません。不眠が2週間以上続く場合は、心療内科や専門医への受診をおすすめします。
坪田聡(つぼたさとる)
睡眠専門医
医師、医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本スポーツ精神医学会、日本医師会所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人。生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し「睡眠コーチング」を創始。医師として診療にあたる一方、睡眠の質を向上させるための指導や普及に努める。『睡眠専門医が教える!一瞬で眠りにつく方法』(宝島社)など著書多数。テレビ朝日系列『中居正広のミになる図書館』ほかテレビ出演多数、雑誌記事の監修も数多く行っている。